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「三浦一馬 タンゴ・セレクション~古典タンゴからピアソラまで」 三浦一馬さんインタビュー(1)

2018.12.12

「三浦一馬 タンゴ・セレクション~古典タンゴからピアソラまで」
インタビュー①

2019年2月24日(日)大ホール公演にご出演いただく、バンドネオン奏者の三浦一馬さんにお話をうかがいました。

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Q:三浦さんにはこれまで2回めぐろパーシモンホールにご出演いただいています。1回目は2010年3月20日の「未来の音シリーズ 第10回 三浦一馬バンドネオン・リサイタル」、2回目は2013年3月2日の「めぐろパーシモンホール開館10周年記念 未来の音ガラ・コンサート」です。特にガラ・コンサートでは、三浦さんに編曲をお願いした全員でのアンコールが非常に盛り上がったことが印象深く残っています。
A:2010年の時は、今と比べればそこまでコンサートも数多くできていたわけではありませんので、一つ一つをはっきりと覚えています。めぐろパーシモンホールの皆さんにとてもよくしていただき、温かく迎えていただいた記憶があります。
2013年の時のアンコールは、僕の中でも印象深い思い出です。コンサート自体もすごく濃密なコンサートでした。ギターの木村大さん、佐藤俊介(ヴァイオリン)さん、横坂源(チェロ)さん、北村朋幹(ピアノ)さんのトリオが出演されていて、こんな素晴らしいメンバーがせっかく一堂に会すのだから、何かしたいと思いました。

Q:イレギュラーな編成のアレンジでお手間をお掛けしてしまいましたが、本当に素晴らしかったです。
A:アンコールの曲は「アレグロ・タンガービレ(作曲:ピアソラ)」という曲だったんですけれども、皆でできる華やかでアンコールピースのような曲を探した結果この曲にしました。実はこの曲を僕がコンサートで弾くのは初めてだったんですが、すごくいい時間になったなという記憶が僕の中にもあったので、その後この曲は僕のメインレパートリーの一つになりました。また、ピアノとのデュオバージョンを作ったり、キンテート(五重奏)のスタイルでも演奏しています。
10月24日に新作CDをリリースするのですが、その中にもこの曲は入っています。それもやっぱり辿っていくとあのアンコールだったんだな、と今日お話しするにあたって思い返していました。楽しかったなあ、あれは!
ガラ・コンサートの時の北村さんと山田武彦さんのピアノの連弾もすごかったですよね。

Q:今に繋がっている感じがして、私たちも感慨深いです。
前回のご出演から6年という月日が流れ、色々な活動をされてきたと思いますが、その間で感じられているご自身の変化や印象的な出来事などはありますか。
A:ここ5,6年は、自分で言うのはなんですが、駆け抜けてきた印象があります。有難いことに次から次に色々させていただきました。自分がメインで弾く以外の所にもどんどん活動が広がっています。バンドネオンでタンゴを弾くのみに留まず、例えば丸々1枚ガーシュウィンのアルバムを出したり、あるいは色々な方とのコラボレーションもさせていただいています。そのために楽譜も書きますし、その時にレパートリーとして生まれたものをまた別の形に変えて作ったりもします。それはガラ・コンサートのアンコールの時と一緒ですよね。自分の中で何かを生み出して、形を変えてまた広げて。以前出会った人と違う現場でまた出会った時に、その時の感動を共有しながらまたそこで更に演奏していったり。今でも続いていますが、濃い時代、時間だったと感じています。本当に幸せなことだと思っています。

Q:邦楽の方と一緒に演奏されているのを動画で拝見したことがあります。こんなこともなさっているのだと驚きました。
A:あれは2年くらい前だったと思いますが、長唄や三味線、太鼓の方々と演奏しました。出演者の皆さんもちろん和装だったので、僕もあわせて紋付き袴を自前でお借りして着たのを覚えています。着物で演奏すると自ずと背筋が伸びるというか、伸ばさないと辛いというか・・・。そんなような活動もありましたね。
その他にもポップスのステージに立たせていただいて「このジャンルはこんな感じで進めていくんだ。」ということを経験しました。ヴァイオリンのNAOTOさんやアコーディオンのcobaさんなど、そういう方々とご一緒させていただくと、全部コード譜であったりだとか、「どうしよう、どうしよう」と冷や汗垂らしながらやっていました。でも、色々な刺激と影響を受けながら、自分の糧と言うと大げさかもしれませんが、血となり肉となっていくのが感覚として分かるので、非常に嬉しいし有難いです。

Q:ご自分でアレンジして、自らレパートリーを作っていくという作業が非常に多いと思いますが、三浦さんがそうやって作って切り拓いていったものが今後に残っていくのではないかと、活動を拝見していると思います。
A:ありがとうございます。自分でやらなければいけない、しょうがないとは言え、二足のわらじを履いている感はあります。もしかしたら、今は自分で弾いている時間よりも書いている時間の方が長いかもしれません。でも、楽しいですよ。
バンドネオンのレパートリーや楽譜が少ないということはよく言われます。事実ではあるんですが、それならば作ってしまえばいいんですよね。そういうところから色々始まっていますし。
考えてみたら初めてめぐろパーシモンホールに出演した2010年の前、初めてCDを出したのですが、裏の曲目を見ると、とりとめのない、まとまりのない感じだと思うんですが、でも今振り返ってみたら、この時に入れていたそれぞれの曲というのが、だんだん広がっていって色々な方向を向いてきているという気がするんです。もちろん、ピアソラや古典タンゴも入っていましたし、カルメン幻想曲といったクラシックも入っています。オスカー・ピーターソンのジャズを入れたりもしました。本当に色々入っていて、でも間違いなく今でも同じようなことを思いながら、それぞれ弾き続けているものばかりです。
よく言う例えなんですが、タンゴとかピアソラという1本太い幹がありながら、枝葉を広げてもっと大きい所に垣根なくいけるんじゃないかな、というのが自分のスタイルのような気がしています。そういう枝葉となる部分をここ5,6年色々な所で与えていただいる感じもします。

Q:ジャンルの幅は非常に広いのですが、それが三浦さんの中で結実している気がします。特に東京グランド・ソロイスツの活動は集大成的な感じもお見受けします。
A:東京グランド・ソロイスツは2017年に旗揚げ公演を実施し、今年2回目を行いました。去年そして今年は、グランド・ソロイスツの公演2~3か月前は、とにかくその作業にほぼ生活の全てを捧げてというか、全てそのために、という期間になっていました。
大げさかもしれませんが、集大成というか、自分がずっと理想としていた音がサウンドが、デビュー11年目を迎えてようやく実現することができる。そこがあるから頑張れますし、僕にとってある意味“未来の音”になっていると思います。ちなみに、東京グランド・ソロイスツのレパートリーも来年2月24日の公演で取り上げる流れになっています。

Q:来年2月の公演のお話が出ましたが、回帰のような感じで古典タンゴも取り上げつつ、セカンドステージはピアソラのステージとなりますが、今回このようなプログラムを考えられた理由をお聞かせください。
A:10月のCDリリースの翌日からツアーが始まりますが、ツアーの中でも色んな側面を持つ公演を作っていきたい、という思いがあります。僕にとってはめぐろパーシモンホールの公演をその中の一つに位置付けしたいと思っています。
今回のツアーでは、各地で色々なプログラムを演奏します。
僕の中ではやっぱりピアソラを極めたい気持ちがあり、でもその中で原点となっているタンゴは欠かせないな、とすごく思っているところです。ピアソラ自身がバンドネオン奏者であるということもあるんですけれども、本当にベースとしているものって、古典タンゴなのだと思います。クラシックやジャズなど色々なジャンルをブレンドしてそれらの良さを取り込みながら、それを配合する時の一番メインとなっているのがやはりタンゴなんですよね。そこを再確認したい。そこの魅力を今一度自分でも弾いてみたいしみなさまにも感じていただきたいです。
今回は5人のスタイルの演奏に更に弦楽カルテットが加わります。僕の中ではサウンドであったり、編成であったり、それすらブレンドさせたいんです。元々の古典タンゴのスタイルは、オルケスタ・ティピカという「標準的な」という意味を持っているのですが、バンドネオンが前に4人くらいいて、ストリングスやピアノがいて、という編成でした。ピアソラ以降は、バンドネオン奏者が一人で演奏するというのがよく見受けられるようになりました。ピアソラの5人編成のスタイルも活かしながら、更にそこに弦楽を入れるというのは、古典に回帰している部分でもあり、僕が去年立ち上げたグランド・ソロイスツのある種スピンオフのような形でもあります。今回参加してもらうメンバーもグランド・ソロイスツのメンバーでもあったりします。色々な意味でブレンドさせた内容にしたいな、と思っています。

to be continued…

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三浦一馬さんが信頼するメンバーと共に古典タンゴとピアソラへの敬意を込めたプログラムを披露していただくコンサートは、2019年2月24日開催!
詳細はこちら
http://www.persimmon.or.jp/performance/hosting/20180824130832.html

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