柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2019年8月14日(水)

〈フレッシュ名曲コンサート〉ソリスト 荒井里桜(ヴァイオリン)・吉見友貴(ピアノ) インタビュー

入梅して間もない6月8日、「フレッシュ名曲コンサート―煌く2つのコンチェルト、スペクタクルなオーケストラ」のソリストによるキャンペーンコンサートを開催しました。終演後、ヴァイオリンの荒井里桜さん、ピアノの吉見友貴さんにお話を伺いました。

◆ソリスト二人の初共演

―― 本日はキャンペーンコンサートへのご出演、ありがとうございました。

二人 ありがとうございました。

―― お二人は今回が初共演とのことですね。企画段階で荒井さんに、共演されるピアニストはどなたか伺ったところ「吉見さん」とのお返事が。もともとお知り合いかと思っていましたが、そうではなく、今回の公演のために荒井さんからSNSのメッセージで吉見さんに連絡されたそうですね。

荒井 はい。そうでした。

―― それまでお話しもしたことなかったですか?

吉見 なかったです。
荒井 なかったですね。今回、二人のキャンペーンコンサートということなので、別の方に伴奏をお願いするよりも、二人で弾ければいいかなと思いまして。

―― とてもいいアイデアだったと思います、ありがとうございます。実際に共演されて、いかがでしたか?

荒井 純粋に楽しかったです。
吉見 はい、よかったです。

終演後の写真

◆荒井里桜 ― このまま一生ヴァイオリンで行くことができれば・・・

―― それでは、お一人ずつにお話を伺いたいと思います。荒井さんは5歳からヴァイオリンを始められたということですが、きっかけは?

荒井 両親がヴァイオリンの音が好きで、勧められて…。

吉見 へえ~。

荒井 自分ではあまり覚えてないのですが、体験レッスンに行ったら自分でやりたいと言ったらしく、そのまま続けることになりました。

荒井里桜(あらい りお)

―― 本格的に音楽の道を目指そうと思ったのは?

荒井 高校は東京藝術大学の附属高校に入りました。それまでずっと消音器をつけて家で練習をしていて、本番の当日の楽屋ではじめて外す、という感じだったんです。小さい頃からそうだったのでそれが普通だと思っていたんですけど、藝高に入って周りをみるとそれは普通じゃないんだということが分かりました。
それから、自分も家では弾かずに学校で弾くようになりました。そうしているうちに、自分で「こう表現したいかな」という感じが出てきて…。
音楽の道で食べていくのは大変だと思うし、自信があるわけではないのですが、このまま一生ヴァイオリンで行くことができれば…と思っています。

―― 東京音楽コンクール、日本音楽コンクールと、立て続けに結果を残されていますね。

荒井 運もあると思います。

吉見 運も実力のうちですよね。

―― 今後はどのように進もうと考えていますか?

荒井 近い将来では、留学も選択肢のひとつに考えていますが、語学の勉強が大変で。

(吉見さん、深くうなずく)

荒井 ねえ…。

荒井里桜、吉見友貴

◆吉見友貴 ― ピアノが、音楽が好きで、本当にそれだけでやってきた。

―― 吉見さんも5歳からピアノを始められたとのことですが、きっかけは?

吉見 あまり覚えていないのですが、友だちの家にアップライトピアノがあって、それをみてやりたいって言ったらしいです。それだけがきっかけだったら、あまりにも単純すぎますよね(笑)。しかも、多分音を聴いたわけでもないんです。

―― 笑 音も聴かずに、というのはきっかけエピソードとしては初めて聞きました。

吉見 母は、子どもの言うことだからと「2週間考えてそれでもやりたいんだったらやってもいいよ」と言ったそうで、2週間後にもう一度聞いたら「やりたい」と。それで始めました。

―― 練習は好きでしたか。

吉見 練習は嫌いでした。

荒井 わかる、わかる。

吉見  たぶん“ピアノが”好きだったんですよ、本当に。練習は嫌いだったんですけど、ピアノが、音楽が好きで…。本当にそれだけでやっていた感じですね。
小学校の時に受けたコンクールがけっこう良い成績で。当時は広島に住んでいたのですが、先生に薦められて中学から桐朋附属の子どもための音楽教室の仙川教室に通い始め、桐朋の高校に入って今に至ります。

吉見友貴(よしみ ゆうき)

―― そして、高校2年生の時に日本音楽コンクール第1位を獲得されました。

吉見 今思えば、すごいことですよね。ついてたというか、本当に調子が上向きだったんですよ。一次予選では失敗してもうダメだろうな、と思ったのですが、それが二次に進めて。あ、二次のための準備をしなきゃと思って頑張って…それから、どんどん調子が上向きになっていったんです。三次ではすごく良く弾けたと感じました。もちろん、当初は出るなら本選まで行きたいとは思っていたんですけど、期間中はそんなこと思える余裕もなくて。ただただ必死に目の前のラウンドをこなすだけでした。

荒井 コンクール中は、先のことは考えられないです。

吉見 そうですね。何も考えずに必死にやっていたので、相当集中できたのだと思います。

荒井 それにしても、すごいですね。一次二次三次と調子が上がっていくとは…。

吉見 多分それも、いい運が自分に回ってきたのかなと思っています。

―― 吉見さんは今後どのように進まれるご予定ですか?

吉見 アメリカで勉強したいと考えています。大学生の間は、世界中から優秀な人がたくさん集まる環境に身を置いて、そういうところで勉強できるのは刺激にもなるし、精神的なタフさも得られるのではないかと考えています。

◆一息つけるとき

―― お二人ともコンクールで好成績を収めたことで、演奏の機会もかなり増えたと思います。その中でも学校があり、練習もあり、コンクールも受け…とても忙しい中で、息抜きはできていますか?

荒井 友達とご飯に行ったり、ディズニー(ランド/シー)などにも行ったりします。高校までは周囲も遊びに行くような雰囲気ではなくて。授業が終わるとすぐ、レッスン室を取るためにすごい勢いでみんな走って行っていましたが、私は大体乗り遅れて…。そんな感じだったので、高校の頃はほとんど友達と遊びには行くことはありませんでした。

―― 吉見さんも同じ感じでしたか?

吉見 高校1年生の時は、コンクールもあって必死に練習していたんですけど…。それでも、ちゃんと遊びましたし、ちゃんと練習もしましたし、いい感じのバランスでやっていたと思います。コンクールのために練習するという意識ではなく、音楽を勉強している、という気持ちでした。

―― 今は音楽以外では何をやっている時が一番楽しいですか?

吉見 ネット動画を見ている時が一番楽しいです。一人でいる時はずっと見ていますね。

荒井 わかります。一度見始めたら次々と関連動画が出てくるじゃないですか。

吉見 そう、それで次々と見ていく。フィギュアスケートとか、卓球とかテニスとか、スポーツをよく見ます。それでいつの間にか夜になって、あ、練習しなきゃ、と。

荒井里桜、吉見友貴

―― お二人には、11/9のフレッシュ名曲コンサートで飯森範親氏の指揮で東京交響楽団と共演していただきます。それぞれ演奏される曲について、お話ししていただけますでしょうか。

◆チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

荒井 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をオーケストラと初めて演奏したのは、東京音楽コンクールの本選です。その時はプロオケと演奏すること自体、初めてでした。このコンクールではカテゴリーが弦楽部門となっていて、ヴァイオリンだけではなくチェロやヴィオラと一緒の審査なのですが、照準の定め方もよく分からなかったし、あまり期待はしてなかったんです。それも本当に運良く進めて。でも本選まで残れるとは思ってなかったので、本選の課題曲のチャイコフスキーの協奏曲をあまりやってなかったんです。本選に進めることが決まって、「一週間後だ!」と。それから、メトロノームの速さを(かなりゆっくりの)50くらいから、練習を始めました。

吉見 ええっ?!

荒井 はい、めちゃくちゃゆっくりから始めて。でもその時はすごく集中できたんです。いつもは集中力が30分くらいしかもたないところ、その時は昼に練習をしていて、気づいたら夜だった。という感じでした。結構必死にやりましたね。

吉見 気持ちですよね、やっぱり。

荒井 本選で実際に演奏したときは、本当に気持ちの余裕がなかったのですが、いつもCDで聴いていた音が後ろから聴こえるという感動がとても大きかったです。かなり圧倒されました。この曲は、大きいコンクールの本選ではじめて弾いた、思い出深い曲でもあります。

◆ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

―― 吉見さんは今回、ラヴェルのピアノ協奏曲を初めて演奏されるとのことですが、この曲を選んだ理由は?

吉見 今まで演奏してきた協奏曲がチャイコフスキーの1番、ラフマニノフの2番、プロコフィエフの3番で、ロシアものばかりでした。それで、今までとは違う曲をやりたいなと思っていて。ラヴェルは元々とても好きな作曲家で、高校時代を通してずっとラヴェルの作品を勉強していたこともあり、せっかくコンチェルトを弾かせていただける機会をいただいたので“ラヴェル弾き”としてはぜひこの曲を弾きたいと思い、熱望しました。

―― ご希望に沿うことができて良かったです。ラヴェルにはかなりの思い入れがあるのですね。

吉見 そうですね、高校の頃はラヴェルの曲を弾かなかったが時期があまりないほど、色々な作品をずっと勉強していました。ちょうどその頃の自分の音や気持ちなどに(ラヴェルの音楽が)結構はまっていて。それで弾いていてすごく楽しかったのです。

―― ご来場いただくみなさまに向けてメッセージをお願いします。

吉見 私はラヴェルのピアノコンチェルトを演奏いたします。ラヴェルは自分の本当に大好きな作曲家で、この曲は特にラヴェルらしいオーケストレーションが遺憾なく発揮された曲だと思っております。皆様の前でこの曲を弾けることをとても楽しみにしております。

荒井 私はチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトを演奏します。チャイコフスキーは私がコンクールで初めて演奏した思い入れのある曲です。チャイコフスキーならではの白鳥のような美しいメロディーや、第3楽章のオーケストラと一緒に盛り上がっていく部分など、沢山の大好きな部分が入っている曲です。
11/9にめぐろパーシモンホールでお待ちしております。

公演情報

〈フレッシュ名曲コンサート〉煌く2つのコンチェルト、スペクタクルなオーケストラ

2019年11月9日(土)14:15開場/15:00開演
めぐろパーシモンホール 大ホール

【出演】
〈指揮〉飯森範親
〈ヴァイオリン〉荒井里桜
〈ピアノ〉吉見友貴
〈管弦楽〉東京交響楽団

【曲目】
チャイコフスキー: 歌劇「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ
チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35(ソリスト:荒井里桜)
ラヴェル: ピアノ協奏曲 ト長調(ソリスト:吉見友貴)
R.シュトラウス: 交響詩 ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Op.28

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