柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2018年1月18日(木)

新春落語で初笑い2018

春風亭小朝・春風亭昇太・林家たい平 新春爆笑三人会
2018年1月12日(金) 13:00開場 13:30開演
大ホール
【出演】春風亭小朝、春風亭昇太、林家たい平、春風亭昇咲(前座)、柳貴家雪之介(太神楽)

【協賛】自由が丘 蜂の家

■演目
一、春風亭昇咲(前座) 「寿限無」
一、春風亭昇太 「看板の一」
一、春風亭小朝 「芝浜」
~仲入り~
一、柳貴家雪之介 「太神楽」
一、林家たい平 「猫の災難」

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今年も実施しました、めぐろパーシモンホール恒例新春落語。
新年の初笑いを楽しみに多くのお客様が来場されました。

今回の前座は春風亭昇咲さんです。演目は、子どもも大好き「寿限無」です。

生まれた子どもにめでたい名前を付けようとして、お寺の和尚さんの所へ相談に行った父親は、和尚さんから色々と教えてもらったおめでたい言葉を、全て並べて子供の名前にしてしまう。子供はすくすく育って腕白小僧になる。近所の子供とけんかをし、殴られてこぶを作った子供が父親のところに言いつけに来る。やり取りの中で長い名前が繰り返されるうちに、こぶが引っ込んでしまった、という落ちの落語です。長い名前の暗記と早口が笑いを誘います。

続いては昇太師匠。枕でお客様の心をがっちり掴みます。演目は古典落語の代表格である「看板の一」です。

博徒たちが、チョボイチに興じているが、動く金額が少ないため、退屈し始めている。そこへ彼らの親分が現れ、博徒たちは胴元になるよう頼む。親分はこれを承諾する。親分が壺ざるを振って伏せたところ、サイコロがきちんと中に入らず、ピン(=1)の目が出たサイコロが壺ざるの外に転がってしまっているが、「さあ、いくらでも張って(=賭けて)来い。年をとって、目がかすみ、耳が遠くなったが、お前たちには負けない」と言い、気づくそぶりを見せない。それに気づいた博徒達は、全員があり金をピンの目に賭ける。親分は「みんな揃ったな。では、このサイは片付けよう」と、見えていたサイコロを取り除いてしまう。「これは看板(=見せかけ)のピンだ。壺の中に、本当のサイがある。俺の見立てでは、5が出ているだろう」こう言って親分が壺ざるを上げると、サイコロは親分の言った通り5の目を出していたので、博徒たちは驚く。親分は賭け金を博徒達に返し、「賭けごとなどというものは、こういう具合に、どんな汚い手を使われるかわからない。これにこりたら、もう博打(ばくち)なんてするのではないぞ」といい、賭場を去る。
この場に居合わせて、強く感心したひとりの男は、親分の真似をして儲けようと、他の賭場へ向かう。男が胴元になり、1の目が出たサイコロを壺ざるの外へこぼし、「年をとって、目がかすみ、耳が遠くなったが……」とつぶやいてみせると、周りの者が「お前はまだ26だろう」とからかいつつ、こぼれたサイコロに気づく。賭け子の全員が1に賭ける。男が「これは看板のピンだ。壺の中に、本当のサイがある。俺の見立てでは、5が出ているだろう」と言って壺を上げると、
「ああ、中もピンだ」と言う落ちの落語です。

前半最後をビシッと締めてくれたのは小朝師匠。演目は「芝浜」です。人情噺がほろっとさせてくれます。

天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲みすぎて失敗が続き、さっぱりうだつが上がらない、裏長屋の貧乏暮らし。その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら芝の魚市場に仕入れに向かう。しかし時間が早過ぎたため市場はまだ開いていない。誰もいない美しい夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つける。拾って開けると、中には目をむくような大金が。有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。
翌日、二日酔いで起き出した勝に女房、こんなに呑んで支払いをどうする気かとおかんむり。勝は拾った財布の金のことを訴えるが、女房は、そんなものは知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれの夢に見たんだろと言う。焦った勝は家中を引っ繰り返して財布を探すが、どこにも無い。彼は愕然として、ついに財布の件を夢と諦める。つくづく身の上を考えなおした勝は、これじゃいけねえと一念発起、断酒して死にもの狂いに働きはじめる。
懸命に働いた末、三年後には表通りにいっぱしの店を構えることが出来、生活も安定し、身代も増えた。そしてその年の大晦日の晩のことである。勝は妻に対して献身をねぎらい、頭を下げる。すると女房は、三年前の財布の件について告白をはじめ、真相を勝に話した。
あの日、勝から拾った大金を見せられた妻は困惑した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死刑だ。長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝に財布の金が下げ渡されたのであった。
事実を知り、例の財布を見せられた勝はしかし妻を責めることはなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置く。「よそう。また夢になるといけねえ」

仲入り(休憩)を挟み柳貴家雪之介さんが太神楽でお正月らしい華やかな演出をしてくださいました。お客様も拍手喝采です。

2018年新春爆笑三人会の最後を飾ってくださったのは、たい平師匠です。演目は「猫の災難」です。
枕で大いに笑わせてもらい、きっちりと最後締めてくださいました。

熊五郎という男が休みの日に、酒が飲みたいが酒も肴も金もない、と煩悶していると、隣のおかみさんが鯛のあらを持ってきてくれる。聞けば、飼っている猫の病気見舞いに食べさせたあまりだという。ありがたく頂戴して、しかし見栄えが良くないので骨だけの身の部分に皿をかぶせて置き、さて酒はどうしようかと考えていると、近くに住む兄貴分がやってくる。  「良い鯛があるじゃないか。よし、酒は俺が買ってやるから、こいつを肴に飲もう」 兄貴は鯛があらだけだということに気づかず、酒を買いにいってしまう。 渡りに船と喜んだのもつかの間、兄貴が戻ってきたときに鯛があらだけだとばれたら、怒られて酒も飲ませてもらえない。 どうしても酒が飲みたい熊五郎は、捌いた鯛の身を猫がさらっていってしまったということにしようと思いつき・・・。
お金はないけどお酒は飲みたい、という男の必死な努力がおかしい、落語らしいお話です。

満員御礼で迎えた本年の新春落語。来場されたお客様も大満足でお楽しみいただきました。また、蜂の家様にご協賛いただきましたまゆ最中も大変に好評で、他の劇場とは違うサプライズ付きの落語公演を楽しんでいただきました。

お腹の底から大笑いをして、今年1年楽しく過ごせること間違いなしです。
次回の落語公演にもぜひお越しください。お待ちしております。

 

事業課 濱