柿の木日記・
アウトリーチプログラム

職員がホールでの日々のできごとや、
アウトリーチプログラムなどについての
情報を発信しています。

2011年4月5日(火)

フルートとハープのための・・・フレッシュ名曲コンサートができるまで

よく晴れた日曜日の3月6日、フレッシュ名曲コンサートが開催されました。

この企画は、東京文化会館(公益財団法人東京都歴史文化財団)との共同主催により毎年実施しているコンサート。
毎年、若手の演奏家に演奏の機会を提供し、在京オーケストラと共演していただき、本格的クラシック音楽を、手軽な料金で身近に楽しんでいただくという企画です。

今回の新進演奏家は、フルート奏者の押部朋子さん。現在、大学院に在学されている若い演奏家です。共演は、世界的に注目されているハープ奏者の吉野直子さん。
このお二人をソリストにお迎えし、最近大変活躍されている下野竜也氏の指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団の管弦楽の豪華な共演となりました。

フルートとハープとオーケストラで演奏される作品といえば、やはりモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲ハ長調」。明るくサロン風の雰囲気がある、暖かくなり始めたこの季節に合う美しい曲です。
本番の美しい音が出る瞬間の感動。ああ良かったと思うと同時に、今回も本番を迎えるまでのいろいろなことを思い出しました。

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今日は、この公演に至るまでの公演担当者の仕事について、少し書いてみたいと思います。
まず、1年以上前の段階から、どの新進演奏家のかたに出演していただくかを打診します。東京音楽コンクールなどで実際に入賞者の演奏を聴き、今まで起用した楽器などの経緯から、昨年はピアノだったから今年は木管楽器、などと考えながら、この人が良いのではないか!という演奏家を希望して起用します。

ほぼ同時に、共演のオーケストラを決め、そのあと指揮者が決まり、新進演奏家とオーケストラの共演曲のメインを決めてから曲目をすべて決め、やっとチケットを発売します。
また、このフレッシュ名曲コンサートでは、本番の何カ月か前に、プレ・イベントとして小ホールで今回起用となる新進演奏家のミニ・コンサートをワンコイン(500円)の入場料で開催し、今回開催した大ホールの本公演のコンサートのPRもしました。

一枚でも多くチケットが売れたらいいなあ。音楽というのは、いくら上手い表現で文章で説明しても、実際に聴かないと体感できないものです。普段はクラシックのコンサートなどに出かけないかたも含めて、少しでも多くの方に聴いていただきたい。だからチラシやポスターのデザインについても、デザイナーと納得行くまで話をしました。〈音が聞こえない状態〉のチラシやポスターを見てチケットを買ってもらうには、どう告知して、どう見せようか?・・・など。

パーシモンホールの自主公演として、現在、フルオーケストラの入る唯一の定番企画が、この「フレッシュ名曲コンサート」。ホールの公演担当者は、裏方の立場で調整し、表にはあまり出ない仕事がほとんどですが、やはり、この公演の担当には力が入るし、緊張します。

今回の公演は、当日券も沢山売れて盛況となりました。「演奏がとても良かった」などお客様の声を聞くとやはり開催できてよかったと心から思います。
ホールの職員は自分で企画したものを、客席でゆっくり聴くことはまず無理ですが・・・しかし、仕事を通じて、とても貴重で特別な体験をさせていただいているのだと思い、この仕事にも感謝しています。

高見澤(めぐろパーシモンホール事業課)