柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2023年6月27日(火)

「子どものためのワークショップ2023 演劇入門ワークショップ」を開催しました

今年も講師に劇作家・演出家の平田オリザさんをお迎えし、「子どものためのワークショップ2023 演劇入門ワークショップ」を開催しました。

参加者の学生さんはほとんど初対面で、学校の枠を超えて仲間と演劇の世界に没頭できる中高生対象の演劇ワークショップです!今年は34名の皆さんが参加してくれました。

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日付:2023年6月18日(日)13:00~20:00
会場:めぐろパーシモンホール 小ホール
参加者:中学1年~高校3年生 34名
講師:平田オリザ (青年団主宰、劇作家、演出家)

主催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団
協賛:公益財団法人北野生涯教育振興会
協力:有限会社アゴラ企画

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はじめに、グループを作るゲームを行いました。

「好きな果物は?」「東京といえば?」「行ってみたい国は?」などの質問に対する答えが、自分と同じ人を探してグループを作ります。

平田さんの掛け声とともに、積極的に自分の答えを伝え合ったり、身振り手振りを使ってアピールしたりする姿が可愛らしく印象的でした。回数を重ねるごとに皆さんの声も元気に大きくなって、少しずつ緊張感もほぐれていったような気がしました。

このゲームは小学校のクラス開きなどで用いられていて、共通点を見つけて話すきっかけを作ったり、学生さんの発言率を高めたりする効果があるそうです。

続いては、二人ひと組・三人ひと組になってストレッチを行いました。
相手の背中に寄りかかったり、背中合わせになって「せーのっ!」で立ち上がったり、他人に身体をゆだねることの難しさを感じていました。

平田さんは「心と身体と言葉の結びつき」を学ぶことは大切であり、演劇においても必要な観点であるとおっしゃっていました。教育現場ではこの結びつきを学ぶ機会が少なくなっているようです。

続いては、自分と近い番号の人を探してペアになるゲームを行いました。

一人一枚、1~50の番号が書かれたカードが配られます。数字が大きいほど「活発な趣味」を持っているという設定で、それぞれが「自分の趣味」を考えて、番号が近そうな人とペアを作るゲームで、番号以外は何を話しても大丈夫というルールでした。

相手が、どんなつもりで(どんな文脈で)その言葉を使っているのか考えることが重要であると平田さんはお話しされていました。プロの俳優さんの稽古でも用いられるゲームだということで、相手とイメージを共有することの難しさを感じました。

続いては、「エアキャッチボール」を行いました。
実際にボールがある場合と比べてみると、到着するまでの時間の長さを感じたり、ボールが近づいてくる恐怖感に気づいたりしました。ボールを転がしてみたり、トスしてみたり、色んな投げ方に応じて柔軟に身体を動かしてキャッチする姿が印象的でした。

その次に、「エア大縄跳び」を行いました。
縄に引っ掛かりそうになって身体を引っ込める動作が見られたりと、キャッチボールの時よりもイメージの共有が簡単であることに気づきました。縄跳びはリズムや音があるので、イメージに入り込みやすいという意見も挙がりました。

この「イメージの共有」が演劇を支えている大切な原理であるそうです。

ワークショップの後半では、台本を使って実際に演技をしました。

グループごとに台本の読み合わせを行って、平田さんのご指導を受けながら演じました。何度もやり直しながら、平田さんのお言葉を受け止めて一生懸命に演技と向き合っている学生さんの姿に胸が熱くなりました。特に、同じタイミングで複数の会話が繰り広げられる場面では、日常で当たり前のようにやっている行為を演技で再現することの難しさを感じました。

ワークショップの終盤では、台本にある「旅行ですか?」と他人に問いかける場面をいかに自然に再現するかということを考えました。グループごとに話し合ってミニ発表会も行いました。

電車で知らない人に話しかけることは日本人にとってハードルが高い行為であるため、自然な会話のきっかけを考えることに苦戦しているようでした。発表後、平田さんに講評いただき、自分の演技と向き合うことができました。

最後に、平田さんへの質疑応答タイムがありました。

「部活動でチームの集中力を保つ方法」や「ミュージカルにはない演劇の魅力とは?」など、時間ギリギリまでそれぞれの悩みや疑問をぶつける生徒さんたちに対して、平田さんも嬉しそうな表情で真摯に答えていらっしゃいました。

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今回の演劇入門ワークショップは、演技経験の有無に関わらず、全員が一緒になって課題に向き合う雰囲気があり、演劇の面白さや難しさを身体で感じられた一日だったと思います。ほぼ初対面のメンバーで少しずつ打ち解けていく中で、参加者の皆さんがコミュニケーションを取りながら楽しんでいる様子が感じられました。ここでの繋がりと経験を大切にしていただき、一人ひとりが将来に向けて可能性を広げてもらえたら嬉しいです。

7月下旬に「夏休み演劇ワークショップ」と「ダンスワークショップ」も開催されます!

演劇とダンスに少しでも興味がある方は、ぜひ情報をチェックしてみてください!

詳しくはこちらです。↓

夏休み演劇ワークショップ
夏休みダンスワークショップ

 

事業課 上村

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